ご家庭でのメンテナンス

年代物のヴィンテージ・アンティーク家具は、現代の家具に比べ塗膜強度が弱いため水分や熱、薬剤に弱い傾向がありますが、塗膜が薄いがゆえに本来の木目や木肌の質感を楽しむ事ができ、傷や汚れがついてしまった場合でも比較的簡単に塗装の剥離や修復が可能です。
適切な使い方や日常的なメンテナンスを行うことで、きれいな状態で末永くお使いいただくことができます。

ヴィンテージ・アンティーク家具の日常のお手入れ

基本的なお手入れは、以下の方法でお願いいたします。

  • 乾拭き
  • 硬く絞った水拭き → 乾拭き
  • 定期的なワックスがけ

*メンテナンス直後の品物は水振きや乾拭きの場合も少々の色落ちがあります。

ご使用上の注意

以下は家具が傷む原因となりますのでご注意ください。

濡れたもの

熱いもの

アルコール・洗剤

直射日光

  • 木部塗装面に濡れたもの、熱いものを直置きしないようにしてください。
  • アルコールや洗剤で拭くと光沢や着色成分まで落ちる場合があります。
  • 直射日光や過度の乾燥は、木の収縮によるガタツキ、グラつき、 ひび割れの原因になるので避けて下さい。

Self Repair

ご家庭でもできる簡単なリペア方法のご紹介

CASE 1微細な傷・輪染み・色あせ

軽度な傷、色あせはレストアフィニッシュ&フィーデンワックスで簡単にほとんどわからなくなります。

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軽度な輪染み、スレ小キズ、色あせがある場合。

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ウエスでレストアフィニッシュを擦り込みます。

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色が入りにくい時や輪染みの跡などが目立つ時は、スチールウールで木目に沿って擦り込みます。

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フィーデンワックスを擦り込み表面を保護します。

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完成です。

ニスの凹凸や白濁輪染みなど簡易補修では治らない場合、ご依頼いただければ当社工房で塗装仕上げの種類やダメージの状況に合わせてヒートガンによる加熱や平滑化加工、剥離再塗装を行います。

CASE 2素地が出ている・小傷ができた

明るい木素地が見えている場合は、塗装面に近い色に塗ることで遠目には目立たなくなります。

使用するもの

  • ニッペ木部補修マーカー
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小傷がある場合。

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色の近い補修ペンを塗ります。素材によっては濃くなりすぎる場合があるので、まずは明るめの色や目立たない場所で試して下さい。

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はみ出しを指でなじませて完成。

ご依頼いただければ、当社工房で広い面積の色剥がれや木目や柄を含む部分の修理も可能です。

CASE 3欠けや削れができた

実用性や安全性に問題のある傷は、表面を滑らかにしてパテ埋めします。

使用するもの

  • 紙やすり
  • エポキシパテ
  • カッターナイフ
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ささくれている傷は、衣服に引っかかったり怪我をする恐れがあります。

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手に引っかかるような傷は、一旦紙やすりでなめらかにしてからタッチアップします。

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実用に差し支えのある大きな傷はパテで補修します。

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よく練ったパテで空気が入らないように傷を埋め、硬化後カッターで面を整えて完成。

エポキシパテで整形した部分は補修マーカーの色が載りにくいので、補修箇所がある程度目立つことは避けれません。木目柄の再現等、より完成度の高いリペアを求める場合は当店工房にご依頼下さい。

CASE 4脚のがたつき

家具自体の木の収縮や床の不均衡によるがたつきを調整します。

使用するもの

  • 段ボール
  • 薄ベニヤ板
  • フェルトクッション材
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箱物家具のがたつきには、まず5cm角の薄ベニヤorダンボール片をご用意下さい。

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家具の足下と床の間に挟むことで調節が可能です。

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椅子やテーブルなどの足物家具のガタツキは、市販のフェルトクッション材で調節します。

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滑るもの滑らないものがありますので、用途で使い分けて下さい。浮いている足の設置面を綺麗に拭いてから貼り付けて下さい。

フェルトの厚みで解消できないガタツキは、脚先を削ったりカットしたりする必要がありますので、当店工房にご依頼下さい。

CASE 5引き出しが硬い

湿気や乾燥による木の変形で、引き出しが固くなる場合があります。

使用するもの

  • 紙やすり
  • イボタ蝋
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擦れている場所を確認します。

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擦れている箇所にイボタ蝋を刷り込みます。

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イボタ蝋だけでは改善しない場合は、擦れている箇所を紙やすりで削ります。

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スムーズに動くようになりました。

変形が大きい場合は、鉋がけなどで大きく削って調整が必要になります。ご自身での作業が難しい場合は当店工房にご依頼下さい。

CASE 6グラつき(フレームの緩み)

実用性や安全性に問題のある傷は、表面を滑らかにしてパテ埋めします。

使用するもの

  • 緩みどめ剤
  • カッターナイフ
  • 木工用ボンド
  • ハタガネ
  • PPバンド
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部材が完全に抜けておらず軽度の場合は、市販の緩みどめ剤を接合材に注入します。

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グラつきがひどい場合は、外せる範囲で部材をすべて外します。ばらばらにする場合、接合部分が分からなくならないように印をつけてください。

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古い接着剤をカッターなどでできるだけ剥がします。

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木工用ボンドをたっぷりと塗り、元通りに組み立てハタガネや紐で締め圧着します。はみ出たボンドは濡れ雑巾で拭き取ってください。

部材に割れや折れがある場合など、ご自身での作業が難しい場合は当店工房にご依頼下さい。

CASE 7木ねじが空回りする・抜ける

使用するもの

  • 木工用ボンド
  • 爪楊枝
  • ドライバー
  • ペンチ
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緩い木ネジを外します。

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木ネジの穴に木工用ボンドを注入します。爪楊枝などで押し込むと奥まで入りやすいです。

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ボンドが透明になるまで、完全硬化させます。

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ネジがしっかり効くことを確認して再組み立てします。

ネジ穴周りに割れがある場合や、ネジ頭が滑って外せない場合は当店工房にご依頼下さい。

CASE 8座面の張り替え

裏側から座板がビス止めされている構造で張地が座板底面でタッカー留めされている椅子は簡単に張替えが可能です。

使用するもの

  • ドライバー(+,-)
  • タッカー
  • ペンチ
  • 新しい張地
  • ウレタン
  • カッター、ハサミ
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縫製や鋲打ちのない「坊主張り」と呼ばれるシンプルな構造の座面の場合。

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座板をフレームから外します。

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外した座板の裏側の縁にあるタッカーを-ドライバーで少し浮かします。座板に少しめり込むくらい差し込みタッカーの下をくぐらせます。

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浮いたタッカーをテコの原理を利用してペンチで抜きます。

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座面のウレタンが劣化しているときは座面ウレタンも交換します。

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新しい布で座板を張りぐるみ、軽く引っ張りながら4方順番に少しずつタッカーで留めていきます。

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余分な張り生地をカットします。

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外した裏張りをタッカーで止め直して目隠しして完成です。

縫製や鋲止め等がある座面やソファの場合、ご自身での作業が難しい場合は当店工房にご依頼下さい。